陶器の知識 保温性

保温性

陶器と磁器にはいくつかの違いがありますが、そのひとつが、陶器は磁器よりも保温性に優れているという点です。磁器よりも温まりにくい代わりに、いったん温まればその熱を逃がしにくい性質を持っています。

その理由はのひとつは形状です。磁器は硬度が高いため、薄く作ることが可能で、光にかざすと透けて見えるほど薄いものもあります。砥部焼など、デザインによっては厚みを持たせることもありますが、一般的には磁器のほうが薄い傾向にあります。その厚みの違いによって、保温性にも差が生じます。

また、陶器は磁器に比べて低温で焼成するため、内部に空気の細かい孔を含んだまま焼き上がります。その細かい隙間の中の空気は、ちょうど断熱材のような働きをします。内側が温まると、空気の層がその熱が外に逃げるのを遮断して、熱を逃しにくいという性質が生じるのです。

このような性質のために、陶器は土鍋や抹茶碗など、保温性が求められる製品によく使われます。土鍋を普段使う方はその性質を実感することも多いでしょうし、楽焼や萩焼など、有名どころの抹茶碗はみな陶器です。磁器との性質の違いによって適した用途が違うことも、やきものの知識のひとつとして知っておくとよいでしょう。

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