陶器の知識 釉薬

釉薬

陶芸で「うわぐすり」と呼ばれるものに釉薬(ゆうやく)があります。掛けて焼くことでガラス質を形成し、陶器に様々な風合いを出す他に、汚れや水漏れを防ぐ効果があります。釉薬は、知識として理解することで独自の作品を作り上げることができ、作陶においては重要な役割を担っています。

陶器に用いられたのは奈良時代に中国から三彩陶が入ってきてからとされています。それまでは燃料の薪による自然釉によって表面が形作られており、本格的に使われ始めたのは鎌倉時代の古瀬戸で使用された灰釉と鉄釉からと言われています。

分類としては、無色、鉄系、銅系、コバルト系、マンガン系、色釉、辰砂釉(しんしゃゆう)などがあり、それぞれに複数の種類があります。例えば無色には透明釉、志野釉、亜鉛結晶釉があり、透明釉は透明で基準として使われることが多く、志野釉は乳白色、亜鉛結晶釉はウイレマイトと呼ばれる結晶を作ることができます。また、鉄系は非常に種類があり、飴釉をはじめとして12種類が知られています。

釉薬は、使っている原料や、仕上り、地名や人名から命名されることも多く、作品に用いられる場合もあります。鉄系に属する天目釉はその1つであり、中でも曜変天目茶碗は、条件を厳密に満たすもので完存するのは国宝の3椀のみといわれています。

Menu