陶器を愛好する場合において、風合いの知識を得ることは特に大切です。基本的には粘土だけを材料にするわけですが、窯の温度が少しだけでも違うだけで、全く違った作品になることが珍しくありません。染付や絵付の技術を用いて表現することもあるため、色彩や造形の変化も含めて、極めて多様なものになっています。
陶器の素地に対して、釉薬を使用せずに長石などの鉱物を多くして焼き上げることは、焼き締めと呼ばれる技法です。備前焼が代表的なもので、高温で焼かれる段階で鉱物が溶けて、釉薬がなくてもガラスのような艶が生まれます。この風合いも微妙な温度変化や鉱物のバランスによって変化するため、全く同じ作品を再び作ることは難しいです。
釉薬を塗った陶器は、釜の中で焼かれる段階では水が滴るようにして溶けることがあり、この模様は窯変と呼ばれます。備前焼の場合には、藁を用いて火襷という模様を作ることもあります。意識的に作ることがある一方で、職人が意図しない形で偶然に生まれる模様もあるのが面白いことです。
長く使い続けると、突然に割れてしまうことがありますが、陶器は金継ぎにして再び使うことが可能です。金継ぎによって装飾性が増して、割れる前よりも魅力的な風合いになる作品もあります。