陶器の知識 熱

陶器の本質を知るために、熱の違いによって生まれる性質を見極める知識も必要です。粘土を用いて、土練りや成形の作業をするわけですが、日干しレンガのように乾燥させるだけでは十分な強度が生まれません。最後には窯を使って焼き上げることで、柔らかい素地を硬化させる必要があります。

縄文土器や弥生土器のように、古代の陶器は温度が低く、700度から900度程度になっていました。窯を使うことなく、焚き火で焼くだけの単純な技法になるため、全体的に柔らかい質感になり、水も通しやすくなるのが特徴です。釉薬も使うことがないですから、自然な風合いも出やすくなります。

熱

陶器の中でも磁器に分類されるものは、1300度から1400度ほどの熱を使って焼き上げることから、極めて硬い質感になります。高温に耐えられるようにするために、長石や珪石などの鉱物を多用して、土の弱点を克服する工夫も見られます。厳密な意味の陶器は、1100度から1300度までの熱で焼き上げるのが一般的です。磁器よりも温度が低くなる影響で、叩いてみると鈍い音がして、吸水しやすい素地になります。

昔ながらの窯で焼き上げる場合には、天候や風などの影響を受けやすくなります。わずかな温度差で作品の良し悪しが決まるため、職人は窯出しの瞬間まで油断することができません。

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